もののあわれとユーモア

2013/04/17 中嶋 秀隆

ユーモアに定義のひとつに「にもかかわらず笑う」というのがあることを、本欄で紹介した(2009 年 5 月)。
英文学者・福原麟太郎は『人生十二の知恵』(1953 年刊)のなかで、イギリス人と日本人の感性を比較しながら、次の指摘をしている。「イギリス人は、そんな時、ヒウマーというものを用いる。そのものの価値を、別の価値で見直すことだ。われわれは、もののあわれということを言うが、イギリス人のヒウマーというのは、もののおかしさ、ということである。なにかにこだわっている自分を眺めて、滑稽と感じることである。そうして、さらりと、そのこだわりを無くする。こだわりを落としてしまえば、それで事は終わるのである」

ユーモアの定義として卓抜のものではなかろうか。

以上