7月上旬にボストン大学 (BU) で行われた「国際ユーモア学会」(International Society ofHumor Studies, ISHS) の大会に参加した。プロジェクトにありがちな修羅場を乗り切るのに「笑いとユーモア」が大きな役割と果たすと考えられることから、関連するヒントが見つかるかもしれないと考えたからだ。
大会の要点を簡単に要約する。
大会の参加者は100名程度であり、私がこれまで参加してきた各種大会(おもにプロジェクト・マネジメント関連)に比べると、こぶりである。午前中に全体会議(Plenary Session)があり、午後は小さな規模の分科会の分かれる。夜は、初日にボストン繁華街での夕食会、2日目はBUの学食での「コメディ・ナイト」で、プロのコメディアン(2人)の話芸のパフォーマンスと、参加者有志のジョーク・コンテストであった。
研究発表の内容は、ジョークと芸術、マーク・トウェインのユーモア、社会的階級とユーモア・スタイル、エストニアやポーランド家族でのユーモア、ホーロコストでのユーモアと歌の役割、女性とユーモア、古事記におけるユーモア、東洋の面にあらわれた笑顔、など実に多岐にわたる。
主な発見
1)ユーモアの4分類
① 連帯型ユーモア(Affiliative Humor)
② 自己強化型ユーモア(Self-enhancing Humor)
③ 攻撃型ユーモア(Aggressive Humor)
④ 自己破壊型ユーモア(Self-defeating Humor)
4つのうち、①と②は「心の復元力」(resiliency) にプラスの作用し、メンタルヘルスを強化し、困難を乗り切るうえで効果的とのこと。
2)ポジティブ心理学(positive psychology)という心理学の新潮流。
セリグマンらによってスタートした。人間が難局を乗り切り、成長するメカニズムを解明しようとする先駆的な研究。
参照:セリグマン他 “Scientific Study of What Makes People Flourish, Thrive and OvercomeAdversity”
ポジティブ心理学の対象
① ポジティブな経験:幸福、フロー、愛、満足、楽しみ、など
② ポジティブな感情:肯定的な特徴。 性格、強み、美徳、才能、など
③ ポジティブな構造:親、家族、教育、職場、など
3)VIA-IS (Value in Action-Inventory of Strength という知識体系があり、邦訳を予定しているとのこと。その主な分野は、
① Wisdom/Knowledge, ② Courage, ③ Humanity & Love, ④ Gesture,⑤ Temperance, ⑥ Transcendence
4)幸いにも、横浜在住の日本人ご夫妻にお会いする。ご主人はシェークスピアの研修、奥様は執筆(『まずくてありがとう』)をされている。日本でのユーモア関係の活動を教えていただく。日本笑い学会、英語のジュークを楽しむ会、など。
2012年はポーランドで開催予定。
閑話休題(新たに仕入れたジョーク)
*バー通い
男が弁護士を訪ね、妻と離婚したい、彼女は毎晩バーを回ってばかりいるからだという。
弁護士「奥さんは酒を飲みすぎるんですか?」
男「いや、家内は私を毎晩どこまでも探しに来るんです」。
*電球
Q:「電球を取り換えるのに、何人の女性が必要か?」
A:「1人。彼女が電球をおさえ、残りの世界が彼女の周りをぐるぐる回る。
以 上