人芯経営論 ・・・習慣の作り方②

2011/07/19 浅見 淳一

先月習慣の作り方の後2つは、来月に繰り越ししますと書きましたので、今月はその続きになります。

◆ワクワクする目的(夢)と目標を設定する
プラネットはメインの業務として「プロジェクトマネジメント」のコンサルと研修を実施しています。そこでいつも感じることは、日本の会社や学校で一番欠けている教育は、「目標設定の大切さ」だと感じています。目的があって、その目的を達成するための目標がある。そして目標があって、初めて計画があり行動が行われる。目標があればこそそこに到達できます。ダニエル・ピンクの「モチベーション3.0」には、2.0のアメとムチのモチベーションから、3.0は、自立性とマスタリー(熟達、私は向上心の訳の方が良いと思いますが)と目的(利益のためるではなくて活動したい思い)をあげています。私は簡単に言うと「楽しむ心」だと思っています。子供のころ一所懸命に自転車の練習をしたのは、報酬が欲しかったわけではありません。野球の練習だって同じことです。上達するのがうれしかっただけです。人のそのような気持ちは大人になっても変わらないはずです。

グーグルなどに代表される、若者に人気のある会社は、私には楽しそうな会社に見えます。これから業績が伸びる会社は、仕事を楽しくしている会社だと思っています。仕事は苦しいものだと思っていることは、私は思い込みだと考えています。

「どうしたら楽しい会社ができるか」との問いには「仕事が楽しい会社にしようと思うことだと思っています。松下幸之助氏が、「ダム経営」としていつでもお金がたまっている会社を作るようにしなければならない。と言ったときに、「どうしたらそんな会社ができるか」の質問に「まず、そう思うことです」と言って、多くの人は失笑したそうですが、京セラの稲盛氏は「その通りだ」と思って感激したと本に書かれています。

心から楽しめない目標の実現の為に継続的に活動することは苦痛です。何か困難なことが起きた時に結局それを言い訳にして止めてしまいます。ワクワクすることを思うこと、願うことは、困難な状況でも継続できる目標の設定につながります。思いや願いのない目標に、何の意味があるのでしょうか。

◆上手くいくはずだと根拠のない自信を持つ
人ネガティブ(消極的)な人は「あれもない、これもない」「あれもできない、これもできない」と自分の持っていないものばかりに焦点を当てて考えます。結果「だから、どうせダメなんだ」などと考えます。止める理由を一所懸命探しています。

ポジティブ(積極的)な人は、「あれも持っている、これも持っている」「あれもできる、これもできる」と自分の持っているものに焦点を当てます。結果「出来るかも」「このまま続けていれば上手くいくかもしれない」などと楽天的に考えます。ポジティブとネガティブの違いは、持っているものに焦点を当てるか、持っていないものに焦点を当てるかの違いです。

人はイメージした方向に進みます。失敗するイメージを持つことは、脳がそのイメージが目標だと思い込んでしまいます。行動を習慣化するために、上手くいくイメージを持つ必要があります。行動しなければ何も生み出せない。のは、かなり確実な真理です。時々、心配症の人が「それは絶対大丈夫か?」とか「絶対、確実か?」などと言います。始めてすることや人がすることに絶対なことがあるわけがありません。絶対の語源は、道教の陰陽の考え方で、この世のすべてのものは、男と女、光と闇、プラスとマイナスなどのように2原論でものは対になって存在する。絶とは~~でない。ということですから、この世のものでない、つまり神様の領域という意味です。ようするに「あるわけがない」ということです。「絶対?」ばかりを言う人は、そもそも絶対の言葉の意味を理解していない人です。良い習慣化の為には、上手くいくイメージ、根拠のない自信を持った方が、絶対良いです。

成功は地道な継続的な習慣から生み出されます。成功法則の本では、成功するための大切な素質として「楽観的であること」「明るいこと」をあげているものが大半です。多くの国の多くの時代の多くの人が言っているぐらいですから、間違いないことではないでしょうか。

<余談1>
すでに終わってしまいますが、少し前に江戸東京博物館で開催されていた幕末の絵師、狩野一信、増上寺秘蔵の仏画「500羅漢展」を見てきました。初めて名前を聞いた人ですが、ポップでリアルな絵が気になって見に行きました。10年で100幅の絵を描こうと決心して描きはじめ、96幅を書き終えたところで病死したそうです。それは、ひと月で1幅の絵を仕上げなければ完結しないペースです。あの精巧で緻密な絵を毎月1幅書きあげることは、素人の私が考えてもとんでもない作業です。心身ともに消耗したことは容易に想像できます。何を考えてそのような決心をしたのかは説明がありませんでしたが、私は10年間の継続が日本絵画史の中で特筆すべき偉業を残したと感じました。私が今まで見た絵画展の中では一番のすごい迫力でした。
次は上野で開催される「空海と密教美術展」を楽しみにしています。

<余談2>
最近は全くテレビを見ない生活になりましたが、朝のニュースで、女子サッカーのW杯優勝のニュースを見た時には、鳥肌が立つぐらい感激しました。選手が言っていたように「勇気と希望」をもらいました。ありがとうございました。