6月16日から首都圏に水を供給する利根川水系の取水制限を実施することが発表された。新聞記事によれば、首都圏の水がめと呼ばれる利根川水系8ダムの貯水率が37%と過去最低の水準となっているとのこと。梅雨の時期にもかかわらず、である。テレビをはじめとしたマスコミは、家庭における節水を呼び掛け始めている。もちろん節水はいつの時期でも大事なことであるが、家庭のおける節水が利根川水系の貯水量の減少にどれだけの効果があるかは、考えなければならない問題である。
この時期、利根川水系の水利用用途の7割から8割は農業用水であるといわれている。水道用水は15%前後であり、家庭における節水が貯水量の減少への貢献度合いは知れたものと言わざるを得ない。田植えが終わったこの時期、常に水田には新しい水が供給されなければ稲の生育に影響が出るため、利根川水系の河川では堰を作り水田への水の供給を続けている。ダムの取水制限を行えば、貯水量の減少を緩和することが出来るが、水田への水の供給への対策を行うことなくしては根本的な問題解決にはならない。問題を解決するためには、幾つかの方法・対策がある。しかし、どの対策を選択するかが重要であるが、私たちはしばしば最適策の選択を誤る傾向がある。
一昔前、2011 年の東日本大震災の折、福島第一原発の事故発生を契機として全国の原発が停止し、電気の供給量が大幅に低下、国民は夏場を迎えて節電の必要性に迫られた。この時の対策の一つとして、家庭における電気消費量を抑える為、蛍光灯や白熱電灯をLED電球に変えることが推奨された。
しかし、冷静に考えると夏場のピーク消費電力量を抑制することが必要なためにいろいろな電力消費削減策が推奨されたのであるが、各家庭がLED電球に変更しても昼間のピーク電力量の削減には効果は少ない。
どのような目的のためにどのような対策を講じるのか、この目的を意識した対策の選定が大事のであるが、
我々はこれしばしば間違える。もって瞑すべきである。