6月8日の日経新聞によれば、カリフォルニア州ポモナで開催された「災害ロボットコンテスト」 で韓国から参加したチームが優勝し、日本からは5チームが参加し、1チームは棄権、4チームは最高位でも10位 に終わったとのことである。このコンクールは、アメリカの国防総省の国防研究計画局が企画し、日米韓などの6カ国・ 地域から24チームが参加して開催されたとのことである。ここのコンテストの目的は福島第一原子力発電所の事故を契機に 原発事故のように人間が近づけないような災害現場で活躍するロボットが設定された課題を所定時間内に こなせるかを競い合うコンテストである。当然のことと思われるが、国家の喫緊の課題である福島第一原発の 早急な問題解決を抱えている日本が優秀な成績(優勝を目指すのは当然ながら、万が一でも2位とか3位との成績) を期待され、参加チームも目標としたと考えられる。しかし、残念ながら先に書いたような結果になった。 日本の参加チームは東京大学や産業技術総合研究所などが編成した5チームと記事では報じている。 東京大学は言わずと知れた日本の最高学府、産業技術総合研究所は、国立研究開発法人である。 まさに日本の国威をかけたチーム編成での参加であったと想定される。しかし、この結果から感じられるのは、 はたしてこのコンテストへのチャレンジは、国威をかけていたものかは疑わしいということである。 福島第一原発の問題解決が国家の喫緊の課題と想定し、このコンテストへのチャレンジも国威をかけたものと勝手に想定したが 、前提が間違っていたと思われる。よく考えれば、福島第一原発の諸々の問題解決が、現政権の最優先課題どころか、 重要優先課題であるとは思われない。「汚染水問題は完全にコントロールされています」とその根拠もなく発言し、 その後に発生した問題も報道規制でもしているかの如く新聞でもテレビでも扱いは数行記事扱いである。 原発に関する最大の問題は、廃棄物の処理問題であるが、最終処理場どころか、中間処理場さえも決まらない。 その状況を踏まえてのことかどうかは不明だが、エルマウサミットでは、安倍首相は 「優れた安定供給性と効率性を有する原子力を重要なベースロード電源として、安全性を前提に活用していく」 と述べている(東京新聞記事より)安全性を前提と断っているからには、福島第一原発の事後処理を国家の最優先課題 として位置づけ、これに取り組むことが必須で、それで実績を残すことが国際社会から信頼され、 尊敬される唯一の道と考えるのだが、この問題が日本の最優先課題として位置づけられていなければ、 コンクールにおける今回の結果も必然と思われる。