数か月とは何か月

2015/01/07 中 憲治

日本語は、広義であるということがよく指摘される。このことが原因で、関係者相互の理解が異なっていたことが後に判明し、問題となり事を拗らせる事態はよく起こることである。私が従来から気に掛っている言葉は「数日、数週間、数か月」という用語である。
多くの人があまり気にしないで使っている用語に「数時間、数日、数週間、数か月、数年」など「数・・・」という用語がある。
気になるが故に、機会ある度に私は次のような質問を投げかける「数か月とおっしゃいますが、それは何か月のことですか?」これに対する答えは実にさまざまである「2~3 か月ですよ!」「4~5 か月のことですよ」「5~6 か月ですかね?」多少疑問符を含んだ答えもあれば、断言調の答えもある。これだけ答えがばらけるということは、それだけ「数・・・」の意味は確定していないということだろう。ということで、広辞苑を調べてみた。「数日」の解説として「2~3 日から 5~6 日のことを指す言葉」とある。
念のため、ウキペディアで調べてみた「数日=2~3 日、あるいは 5~6 日のことを指す」答える人の年齢層によって異なるとの解説もある。曰く、「若年層は 2~3 日、年配層は 5~6 日」とのこと。これは義務教育期間(主に小学校の時)どのように学んだで決まっているようだ。義務教育の指導要綱がある時に変わったようだ。{社会環境の変化により言葉の意味が変わることはあってもいいが、「数日」の意味が変化した理由は社会環境の変化では説明できないように思えるのだが。ちなみに、「数日とは2日以上 10 日未満をいう」との解説も有ったので付け加えておく」念のため、論理的言語といわれる英語では「数・・・」はどのように表現されるのか調べてみた。
「Several ,Some ,a few 」とこれも複数の言葉が並んだ。
「Several=2~3より大きく、Many より少ない」「Some=複数の・・」「a few=2~3」日本語の「数・・・」にはどれも当てはまる。英語の世界でも複数の定義があるようである。
「この仕事は何日掛りますか?」の問いに「数日掛ります」との返事、これが「2~3 日です」の意味であっても「5~6 日掛ります」の意味あってもそれほど時間的な差異は大きくないが、これが仕事を発注し、納期を確認したところ「数か月掛ります」返事があり、それが 2~3 か月の意味として受け取っていたところ、5~6 か月の意味であったと判明した時には大きな問題に発展してしまう。ビジネスに関わる者として、「数・・・」なる曖昧な言葉を連発するなり、その言葉を確かめもしないで受け取ってしまうことはあってはならないことと自覚する必要がある。
しかし、テレビや新聞情報を見たり読んだりする時に、「景気回復には数年の期間を必要とするだろう」「原油下落の傾向は数か月続くだろう」などの表現が乱立していることにはだからマスコミは信用できないとの感を強くせざるを得ない。