日経ビジネス誌(2004/5/24)で、三菱商事社長小島順彦氏への編集長のインタビュー記事を読んだ。同社は「総合商社斜陽説を吹き飛ばすかのように、商社では初めて連結純利益1000億円を突破(2004年3月期決算)」したそうであるが、その理由が興味深い。…ビジネスユニット毎に収支を検証し、組織の力を本当に利益の出せる事業に集中したことが基本。そのビジネスはそれ以上継続しなくてもよい、あるいは継続する必要が無いのに担当者や担当部署の思い入れでビジネスを継続している場合がある。ビジネスユニット制の導入でそれらの見えにくかった事業を把握できるようになった。また、事業継続について明確な基準を定めて、これは伸ばすあるいはこれはもうやめる、といった判断をした。このように足元がきれいになった状態から、次のゴールに向けて飛躍していく…と説明されている。
プロジェクトの計画段階のプロセスのひとつにネットワーク作成がある。TOCによるプロジェクトマネジメント(TOC-PM)においては、ネットワーク作成は最終の成果物から遡っていく。その際、「必須のもの(Must Have)」と「無くてもよいもの(Nice to Have)」を因果関係からきちんと判断し、ネットワークのスリム化と重要作業のヌケモレ防止をはかる。同時に、個々の作業の「完了基準」を明確にする。作業者によっては、完了基準が明確でないと「念のために」といつまでも作業が続くからである。これは直接には予定時間の遅れになるし、また作業が早めに終了した場合は予定時間の浪費につながりかねない。しっかりしたネットワーク作成が無ければ、その後のスケジュール作成もリスクマネジメントも砂上の楼閣に等しい。「プロジェクトでほんとうにやるべきことは何か」に思考を集中するのがTOC-PM によるネットワーク作成の特長である。
開発プロジェクトなどで、もっと重視されてよいプロセスであると考えている。