去年末に、企業を活性化するための研修やコンサルを行っている友人と、美味しい鳥なべを食べながら忘年会をしました。その時にエッセーについても話しました。友人いわく「人が中心にある、会社のあり方。ということだよね」とのこと。「そのとおり!」と思い、急遽タイトルを変更しました。思慮が浅いとのご指摘はごもっとも思いつつ、柔軟性も大切だよね。と勝手に納得しています。
経営資源について
前回は新規事業の立ち上げに、焦点を当てましたので、今回も継続です。
昔は、3 大経営資源、今は 4 大経営資源として「人、物、金、情報」と言われています。
事業を始めるにあたっても必要な構成要素のことです。さまざまな捕らえ方がありますが、項目を簡単に表現すると、人(従業員・知)、物(商品、サービス、生産設備etc)、金(現金、資本金、固定資産etc)、情報(技術情報、顧客リスト、取引情報、etc)等が含まれます。確かに、事業を始め、維持し、継続していくためには、どれも大切な要素であることは間違いありません。ただ、もしすべてが絶対的に必要な要素であるなら、大企業以外には、ビジネス・チャンスはないことになります。しかし、現実の社会は、多くの会社が日々新しく生まれ、そして成長しています。
現代は、過去よりも、経営資源に制約されずに新規ビジネスを始めることが可能な環境になっています。ネットワークを利用しアライアンスを組み、無い資源はアウトソースで始めることも出来ます。例えば、主婦がアイデアひとつで、製造は委託して、販売はテレビショッピングの会社と提携し、自分は入金された売り上げを管理しているだけ、というようなケースもでてきています。
また、ソフトバンクの孫社長は、以前はよく「タイムマシン経営」と言っていました。これなどは、まだ日本で始まっていないアメリカの新しいビジネスを、お金を投入していち早く日本のシェアを確保しようとする戦略です。情報を他に求める手法です。何かを始めるには、お金がかかることは否定できません。しかし、持っている資源の範囲で、始めることも可能です。今は、レンタルオフィスも秘書や事務代行サービスもあれば、生産や販売を引き受けてくれる会社もあります。あまりコストのかからない、ネット上の店舗だけでビジネスを始めることも可能です。
便利な場所にオフィスが必要だ。人も確保しないといけない。あれもこれも必要だと、従来のビジネスの継続上の固定概念、思い込みを前提条件として、ビジネス規模を考えてしまうのではないでしょうか?「持っている経営資源の範囲で始める」選択肢も取れます。新規事業にも、経験則で 8 対 2 の法則が、当てはまると考えています。
100 個アイデアがあれば、事業化の可能性があるのは良くて 20 件、実際事業化が出来るのはせいぜい 4 件、事業として継続できるのは多くて 1 件ぐらいではないでしょうか。
リスクを最小限に抑えるのは経営の大切な判断です。計画やマーケット調査の結果は、あくまでも仮説です。現実の結果が全てです。実際に始めてみて、その結果を直視し、仮説に固執せず、修正や変更する決断が必要です。
新規事業の基本は、リスクを最小化する「小さく生んで、大きく育てる」がキーポイントです。経営資源の制約にとらわれずに、出来ることから始めます。そこから、経験やノウハウが蓄積されます。その上で、自身や自社を振り返ります。「強みがあればそれを生かす、なければ強みを作る」「何の価値を提供していくのか」を中心に考えます。
経営資源に関しては大切なことは、自由な発想を重視して「思い込まない」ことです。