「手強い質問」の底にあるもの

2014/09/08 中嶋 秀隆

PM の研修でプロジェクトという言葉を定義してもらった中に、「何人かの人間がいきなり集められ、言われた仕事をやっつけて、 期限が来たら打ち上げをやって終了すること」という回答があった。素直で正直な答えといえるかもしれないが、ここには2つの意志が不在ではないだろうか? いきなり集める側の意志と、集められる側の意志である。どちらの側も、「快適ゾーン」(Confort Zone) のぬるま湯の中に安住し、 「手強い問い」を立てることを避けている。本来立てるべき問いを立てていないからだ。

プロジェクトを取り巻く環境は厳しく、プロジェクトの風は冷たい。その中で三大制約条件のバランスをとり、プロジェクトを成功に導くには、 「手強い問い」を立てることは不可欠だ。そして、「手強い問い」を立てるには、「快適ゾーン」から出て「不快適ゾーン」に入るという勇気がいる 。相手の気分を害したり、嫌われたりするかもしれないというリスクがあるからだ。さらに、その底には、 自分がプロジェクトの成功請負人であるという覚悟が要る。図にすると、次のようになる。

「手強い問い」を立てる ⇦ 「快適ゾーン」から出て「不快適ゾーン」に入る ⇦ PM としての覚悟ジャーナリストの鳥越俊太郎さんが著書『祖父の流儀(ダンディズム)』で、お孫さんに贈るメッセージとして「他人には優しさを、自分には覚悟を!」と記している。プロジェクト・マネジャーが「手強い質問」をする歳にも、 心がけたい流儀(ダンディズム)である。

以上