チャールズ・シュワッブ(米国の大手鉄鋼メーカー、ベツレヘム・スティール社長)がコンサルタントから受けた、有名なアドバイスがある。仕事の成果を向上させたいというスワッブの希望に関するものだ。
コンサルタントはシュワブに白紙を手渡していった。「明日あなたがやるべきことのうち、最も重要なものを 6 つ書き出してください」シュワブが書き終わると、コンサルタントがさらにいった。
「今書いた6つに、重要な順に番号をつけてください」
シュワッブはいわれるとおりにした。するとコンサルタントがいった。
「明日になったらその中の1番重要なことから始めてください。それを途中でやめないように。それから、2番目、3番目、4番目、5番目とやってください。6つ全部が終わらなくても大丈夫です。いつも1番重要なことをしているわけですから」
数週間後シュワブは、アドバイスの効果を実感し、コンサルタント料として2万 5 千ドルを支払ったということだ。(R.コンクリン『コンクリンの成功哲学』)
コンサルタントのアドバイスをプロジェクトに照らして考えてみよう。プロジェクトには3つの要素―品質
(Quality)、資源 (Cost)、時間 (Delivery) ―がある。プロジェクトで目指すのはこの3つのバランスをとることだ。この中で、資源 (Cost) が一定で、時間 (Delivery) は1日の勤務時間(たとえば 8 時間)とすると、ビジネスパーソンが自分の意思で決められるのは品質 (Quality) であり、この分野をどのように取り扱うかがその人の成果に決定的な影響をもつ。コンサルタントのアドバイスは次の3つに集約される。
1) やるべきことを洗い出し、文書化する。
2) やるべきことを6つに限定し、優先順位をつける。(優先順位つき To Do リスト)
3) 優先順位に基づき、いつも最重要の案件のみに注力する。
多忙を極めるプロジェクト・メネジャーにこそ、おすすめしたい方法である。