100 時間ボランティアのすすめ

2015/02/17 中嶋 秀隆

 『「与える人」こそ成功する時代』(A.グラント著、三笠書房)には、多くの貴重な発見があった。世の人を「ギバー」(与える人、giver)と「テイカー」 (受け取る人、taker)、「マッチャー」(バランスをとる人、matcher)の 3 つに分け、それぞれの行動の特徴と心の中を見事に説明している。私の発見をいくつか列挙しよう。1) ギバーであることは 100m 走では役に立たないが、マラソンでは大いに役立つ。 (p.45)
2) ギバーは「恩送り」(pay forward) することに積極的である。 (p.106)
3) 成功の秘訣を一語でいうなら、それは“寛容さ”だ。寛容であることをモットーに人とかかわっていれば、見返りもおのずとついてくる。(p.112)
4) 著名なピアニストが生まれながらにして才能に恵まれていたわけではない。しかし、かれらは共通して、「思いやりのある、親切で、寛容な先生」から最初に教えを受けている。(p.175)
5) 他人のことだけでなく自分自身のことも思いやりながら、他者志向的に与えれば、心身の健康を犠牲にすることはなくなる。(p.267)
6) フランク・ロイド・ライト(建築家、p.122) とジョナス・ソーク(ポリオワクチン開発者、p.137)は、テイカーにありがちな間違いを犯した 。他人や同僚、協力者の功績を認ようとしなかったのだ。そのため、自分の評価を落とした。
7) 自分が失敗した際、ギバーは失敗を認めて先に進むが、テイカーのマイケル・ジョーダン(バスケットボール選手、p.267) は 、失敗を認めず、いつまでも失敗した投資を取り戻そうとした。
8) ギバーは自分の思考、感情、振る舞いをコントロールするのが得意である。筋力トレーニングで筋肉が鍛えられるように 、鍛錬することで気力も鍛えられるのかもしれない。これがギバーに起こる。(p.282)

上の各点もたいへん興味深いが、私が膝を打ったのは、ボランティア活動についての研究結果だ。それは 2
点に集約される。

1) 人助けはまとめてやる。1日に1つずつ与えるよりも、1日に 5 つまとめて与えるほうが幸福度が増す。(p.267)
2) 年間 100〜800 時間ボランティア活動をしている人は、年間 100 時間未満、もしくは年間 800 時間以上 ボランティア活動をしている人よりも、幸福度と人生への満足度が高い。(p.282)

以前、私が参加した PMI インドネシアの大会で、マレーシア人コンサルタントが言っていた。彼は、毎月 1 日
をメドにボランティア活動をしていると。 1 日を 8 時間として、12 ヶ月で 96 時間。これはちょうど年間 100 時
間とも合致する。ろれなりに妥当な目安なのかもしれない。

以上