読書の3つの効用

2015/03/10 中嶋 秀隆

 ジャーナリスト・扇谷正造氏が、読書の効用を簡潔にまとめている(「二人の友」『続・一冊の本』所収)。次の3つだ。

 第1に、1人の人間は1つしか人生を経験することができない。ところが、小説はさまざまな人生を我々に見せてくれる。 それを通じて、我々は多様な人生の実相を垣間みることができる。
 第2に、たしかに小説は人生の模写である。だが、モーパッサン、チーホフフ、 O.ヘンリー、S.モームなどの作品のテーマは、「人間——この不可思議なるもの」ということかもしれない。それに続けて、扇谷氏はいう。
 第3に、この2つはいわば理に落ちた話だ。小説の効用は、よい作品を読んでいる間は、 世俗も職場も忘れることができる。一言でいうと、「読者随所浄土」とのことだ。
 私はかねがね、A)スポーツ、B)外国語の習得、C)プロジェクト、のそれぞれにつき 「3つの効用」を見いだしてきた。ここで、箇条書きにしておこう。

A)スポーツの 3 つの効用(小泉信三より)
1)練習は不可能を可能にする
2)スポーツマンシップ
3)友情
B)外国語の習得 3 つの効用
1)外国人と話をし、コミュニケーションをとり、その国の文化に触れる ⇒「よその国言葉を知ることは、たくさんの心の窓を持つこと」 (「花 子とアン」より)
2)視野が広がり、ものを複眼で見られるようになる。 ⇒表現方法の違い、言い回しの違い、思考プロセスの違い “Get out of the box.” 「楕円形人間」「複眼思考」
3)自分を笑い飛ばせるようになる。
⇒どんなに注力しても、ミスや不完全さがつきものである。
C)プロジェクの 3 つの効用
1)充実した時間、エキサイティングな体験
2)成長のビッグ・チャンス
3)人脈⇒心に残る紳士・淑女

以上