大学院でリーダーシップ論を担当していて ジョン・コッター教授の提唱するリーダーシップ論を中心に展開していますが、日本人にとってはそれにプラスして陽明学の考えをを取り入れるとより強固なリーダーが誕生しそうな気がします。リーダーに問われる「言行一致」は陽明学の「知行合一」と共鳴するところがあります。儒学でいう知が先にあり、行がそれに続くというよりは 知と行は切り離すことのできない同時発生的なもののようです。伝習録の一部から紹介しますと
弟子「先生の知行合一がなかなか理解できません」
陽明「まづ、きみの方から質問してみたまえ」
弟子「いまはどんな人でも 父には考 兄には悌たるべしと知っているのに、いざ実行となるとそれができません。
これは知と行が明らかに二つの事柄であるからに他なりますまい。」
陽明「そんなのは私欲(天理の反対)に隔断されて、知行の本来のあり方からはずれてしまったものだ。そもそも知っているという以上、それは必ず行いにあらわれるものだ。知っていながら行わないと言うことは、要するに知らないということだ。・・・・・・(省略)だから「大学」でも、真の知行をわれわれに示して「好き色を好むが如し、悪臭を悪むが如し」と説いている。この場合好き色を識別するのは知に属し、それを好むのか行に属すが、しかし、それを好き色と識別した瞬間には、もうちゃんとそれを好んでいるのであり、識別した後に改めて別の心が動いてそれを好むというのではないのだ。・・・・・・・(省略)」
知と行が同時にあらわれてはじめて両者が成り立つということで 行が伴わなければそれは知っていることにならないと言っているようです。