知人が映画の試写会を案内してくました。「テルマエ・ロマエⅡ」を観てきました。最近、ローマ史に少し興味があり、コメディ映画でしたので喜んでいきました。 「Ⅰ」は見逃してしまったのですが、身内では笑ったと好評でした。
テルマエとは「浴場」の事です。話は古代ローマの浴場設計技師ルシウス(阿部寛)が現代の日本の草津温泉街や箱根ユネッサンにタイムスリップをし、 参考にしてローマにもどり、テルマエを作るという話です。日本人の顔の濃い人たちが、古代ローマ人を、上戸彩などの日本人は、平たい顔族を演じています。私もまさに平たい顔族の代表です。
平和を推進しようとするパドリアヌス帝と戦いによって領土を拡大しようとする勢力とのローマを二分する争いの中、 皇帝の命令で人々を平和な気持ちにするためにローマ郊外に大浴場を建設するところがクライマックスです。これはプロジェクトだと思いますが、 映画で表現されているのは、私利私欲のないリーダーのルシウスに心服して、倒れるほど頑張って地面を掘っている人たちの姿です。 離反する人たちもいますが、多くはリーダーの人間性に引き付けられて辛い仕事でも頑張っています。最後は戦いが起こる危機一髪の瀬戸際で、温泉が噴き出してパッピーエンドになります。
少し前に見た「終戦のエンペラー」の天皇の戦争関与を調査するプロジェクトと比べると随分違います。米軍の将校が、 やるべき活動を洗い出し、作業を部下に振り分け、予定を計画していました。迅速に効率的にシステマチックに物事が決められて進んでいました。 2 つのストーリーの違いは、欧米と日本のプロジェクトのイメージや認識の違いが良く出ていると感じました。
フラフラになっても穴を掘り続ける人たちを見ていると、日本のプロジェクトで、とにかく頑張っている人たちの姿と重なります。 映画では最後に温泉が噴き出して、めでたしめでたしでしたが、実際の現場では、いつもそんな幸運に恵まれるわけではありません。リーダーの人間力だけに頼るのでは、限界があります。
<余談 1>
「パクス=ロマーナ(ローマの平和)」という言葉があります。ローマの圧倒的な政治力や軍事力により、周辺国や属国の反乱や戦いがなくなり平和と繁栄が続いた時代を指します。ローマ時代がずっと平和な時代かと憧れていたのですが、山本茂著「歴史毒本」によれば、初代皇帝アウグストゥス(BC25~)から西ローマ帝国の最後の皇帝ロムルス(~AD476)までの 約 500 年の間の 80 人の皇帝(東ローマを除く)の内、天寿を全うしたのは、たった 15 人、残りの 80%以上の皇帝は、暗殺か強いられた自殺で、命を失っています。なかなか壮絶な歴史です。まさに高枕短眠。
<余談 2>
4 月 26 日良い風呂の日に公開です。コメディは、ばかばかしいことを真剣にやれる演技力が必要とされています。 阿部さんは一作目では日本アカデミー賞の主演賞でした。納得。日本のお風呂文化の素晴らしさを再認識しました。
笑えてちょっとほろっとしました。