新幹線に草鞋(わらじ)履きで乗る

2007/12/12 中 憲治

「新幹線には、草鞋(わらじ)履きでは乗らないよ」これは、今から30ほど前私がまだ若かった頃の会社の先輩が言った言葉です。当時、本格的なコンピュータ化の時代を迎えて、新たな人事システムを構築するプロジェクトが社内でスタートしました、これに同時並行して、従来の給与計算から社員履歴、人事考課などの人事業務全般の業務プロセスを大幅に更新するプロジェクトが開始しましたが、人事業務プロセス更新プロジェクトのキックオフにあたって、その必要性を説いたときに使ったフレーズです。旧来の業務プロセスをそのままシステム化すると、大変複雑な効率の悪いシステムになることがよくあります。業務プロセスは、最初は、効率的なプロセスを目指して作られていても、改善、改善を重ねていくうちに、部分最適化が進み、プロセス全体としての効率性が見失われてしまうことが良くあります。システム化を図るときは、業務プロセスの全体最適化を図る必要性がありますが、その前提条件を省いてシステム化することは、「旅行に出るとき、新幹線に乗るのに、旧来の旅のスタイルの草鞋履きで乗るようなもの」です。この言葉は今でも、仕事に望むときの私の座右の銘として心に刻んでいます。