交渉術の古典的な書籍として「ハーバード流交渉術」があります。日本人は交渉を勝つか負けるかの一騎打ちのように捉える文化があるようで交渉に臨むのに悲壮な覚悟で臨む傾向があるようです。英国のコンサルティング会社で使用した教材では交渉は一か八かの交渉ではなくゾーンを設定しての交渉でお互いにどうしたら利益を生むことができるか?とゲーム的な感覚がありディールを楽しむ考え方があります。従っていろいろな技術が開発されます。これが交渉の科学の部分です。今回、出版された「新ハーバード交渉術」では交渉の科学とアートに着目しています。「交渉における人間的なスキルを教えることは難しい。交渉は固定されたパイを奪い合うゼロサムゲームだという思い込みが強いので、必ず非協力的な相手が出てくる。この場合フラストレーション,不信、怒りといった感情が交渉プロセスを支配してしまいがちである。そもそもこのような感情を生まないようにする方法があるのか?逆に感情を積極的に利用する方法がるのか?交渉のアートを突き詰めるには感情の問題は重要な問題と言えます。感情に直接対処することはやめて、交渉者の感情を生み出す社会的欲求に着目し、この欲求を満たすべく積極的に取り組み、ポジティブな感情を生み出し解決を図る」と主張しています。すべての交渉者が持つ社会的欲求は価値理解つながりステータス自律性役割の5つとしています。人間は理性と同時に感情的な動物と言われていますが、そのことがわかると緊張した交渉の場でなぜあの人があのような行動をとったのかが理解出来るようです。特にこの手法は家族などの近しい人たちの交渉に解決を見出すのに有効のようです。近しい人たち親戚間、兄弟姉妹間の問題はこじれるとビジネスの比ではありません。その原因は感情の問題に対処していないことにあるようです。だんだん弁護士の領域に入りそうですが。