ある企業でプロジェクトメネジメントのセミナーを行った時のことだ。ライフサイクルのよい例と悪い例を比較して説明し、悪い例の「後戻りできないポイント」について触れた。すると、受講生から「よいライフサイクルに後戻りできないポイントはないのか?」との質問を受けた。
悪い例の「後戻りできないポイント」は、それまで成り行き任せてやってきたプロジェクトが、納期から逆算して、四の五の言わずに総力を結集してプロジェクトに取り組むことをしいられる時点のことだ。つまり、受け身でやっていたプロジェクトが追い詰められ、エネルギーを集中させざるを得ない時点である。
その意味で、よいライフサイクルには「後戻りできないポイント」はないことになる。その代わり、プロジェクトが設定するマイルストーンやQD(Quality Gate)が、主体的な意味で「後戻りしないと確認するポイント」となろう。
プロジェクトに受け身で(reactive)取り組むと、外から与えられる「後戻りできないポイント」に対応することをせまられる。しかし、主体的に(proactive)取り組むと、内から設定するマイルストーンやQD(Quality Gate)が、「後戻りしないと確認するポイント」 となるだろう。
エッセイ
後戻りできないポイント
2018/09/26 中嶋 秀隆