固定給の発想と時間給の発想

2004/02/09 中西 全二

プロジェクトマネジメントセミナにおいて、要員負荷をならすグループ演習をおこなっていると、しばしばつぎのようなセリフを耳にする。
「Aさんの負荷が3週間にわたって20%なので、何か仕事はないか?」
「私の負荷が平均すると30%程度なので、あまり仕事をしていないようなので恥ずかしい」
これらのセリフは『固定給の発想』を暗黙のうちに前提にしている。
「Aさんは月給40万円もらっているから、100%働かせないともったいない」、
「私は月給60万円もらっているからあまり仕事がないと気まずい」などなど
その結果、プロジェクトにとって「必須(Must Have)」の作業だけでなく、「なくてもよい(Nice to Have)」の作業まで実行してしまっていないだろうか。
このようなことは、プロジェクトの納期が延び、コストが増加し、リスクが増えることにつながってしまう。
もし『時間給の発想』なら、「Aさんは20%しか稼動していないが、その分しかコストは発生しないから問題ない」、「あそばせないように余計な作業を追加するとコストが増加する」ということが、十分認識され、プロジェクトの成功へと一歩近づくのではないだろうか。
プロジェクトのゴールは、その成功基準を達成することであり、プロジェクトメンバーに給料に見合った労働をさせることではないのだから・・・。