プロジェクトにおいても、日常の仕事上や生活上でも、私たちは常に問題に遭遇する。その時多くの場合犯す過ちは、問題を定義しないあるいは明確にしないで結論を急ぐ事である。 複数の人が関わって問題解決に当ろうとしたとき、議論の途中になってそれぞれが別の問題を 頭に描いて解決策を議論していたというに気付くことは少なくない。
「え!?それは別の問題だよ!」との発言でそのことに気付く、しかし、 多くの時間を費やしており、問題解決への熱意も冷めてしまうこともたびたびである。
なぜ、そのようなことが起きてしまうのか。原因は幾つも考えられるが、 たびたび起こり得る原因としては、各自のあるべき姿が異なっていることにあると考えられる。
一般的に問題は、「あるべき姿」と「現実の姿」のギャップであると定義される。この時、あるべき姿には大きく二通りのケースがある。一つ目は「あるべき姿」 が予め定められている。すなわち、標準・基準があるケースであり、二つ目は「あるべき姿」が人により異なるケースである。
一つ目のケースにおいては、問題に関与している人の間で「あるべき姿」は一致しており“問題が異なっていた”のような事態は起こりにくい。
しかし、二つ目のケースにおいては、問題に関与している人は、それぞれに各自各様な問題を想定していることが多く、 このままで議論を重ねることは無駄な時間を費やすだけに終わり、挙句の果てには相手に対する不信感さえ生じ問題解決に 消極的になる事態がよく発生する。まことに不幸なことである。議論を始める前に「あるべき姿」はなにか?
“この場面における問題は何か”を明確にして議論に臨むことが重要なのだ。
エッセイ
問題とは何か、問題は何か
2014/12/11 中 憲治