個人とビジョンと会社のビジョン

2020/02/18 中嶋 秀隆

 日経新聞「私の履歴書」2020年1月13日に証券界のある方の述懐がある。

「当時は人事異動の内示などない。フックスから出てきた鎌倉支店への移動の発令に私の名前があった。あれほどびっくりしたことはない」

 企業はミッション、ビジョンを提示し、社員にもそれにつながる行動を求める。一方、個人には人生に対する夢や目標があり、それを実現する場として職場を選ぶ。しかしわが国の大企業には、いまだに、社員の意志を確かめずに、異動を発令するところがあり、これは問題である。

 これでは、個人はいったん入社すると、自分の夢(いわゆる「ビジョン))とは無関係に、会社の意志で、配属先や勤務地を決められることになる。辞令が発表される前になると、社員がそわそわし出すという大企業があるが、改善の余地がある。

 よい会社とは個人とビジョンと会社のビジョンの融合を目指す会社でなければならない。そのために部下と上司のコミュニケーションがもっととられる必要がある。それに向かって時間とエネルギーを割き、制度として確立する必要があろう。