人芯経営論 ・・・お金との付き合い方

2010/01/25 浅見 淳一

年の初めにあたり、お金のことを少し考えてみました。お金に対する格言には「家宝は寝て待て」「猫に小判」「金は天下のまわり物」「地獄の沙汰も金しだい」など数々あります。生活をする為にお金は必要ですし、お金を稼ぐために仕事をしている側面もあります。お金があれば、簡単に使いたいものに払えますし、行きたいところに旅行もいけます。
お金ってなんだろうと紙幣を眺めてみると、いろいろな色で人物などが印刷されている紙です。

その紙を皆が、価値があると思っているから流通しています。しかし、インフレになるとお金の価値が低くなり、さらにハイパーインフレになった時には、単なる紙くずになります。お金の価値とは、絶対的なものではなく、その時の経済環境や、市場への流通量、金利などにも影響されます。お金の価値とは、人が頭の中で作り出したものです。

紙幣に常に人物が描かれているように、人はお金を擬人的な1つの人格を持った存在として捉えることがあります。人はお金に振り回されたり、支配されたり、助けてもらったり、まるで人と付き合いのように、人とお金とは特別の関係性があります。そこで、お金に人格が有ると考えた時のお金との関係を考えてみます。

敵…お金を嫌っている。心の中ではお金を仇のように思って憎んでいる。お金があると幸せになれないと考えている。お金を避けている。
奴隷(しもべ)…お金を軽蔑している。心の中ではお金を汚いものと考えている。使う時は自分の思い通りにしようとする。お金を雑(粗末)に扱っている。
友人…お金に親しみを感じている。心の中ではお金を友好的に思っている。お金に助けてもらっているような関係。お金を丁寧に扱っている。
恋人…お金を大切に考えている。心の中ではお金に対して愛情を感じている。使う時は大切なものなのだから大事に使う。お金に感謝している。
主人…お金に仕えて(命令されて)いる。心の中ではお金に従っている。人間関係よりもお金との関係を重視する。お金が主役になっている。
支配者(悪魔)…お金の奴隷なっている。心の中ではお金を崇拝している。お金が全てと考え、お金の為には手段を選ばない。拝金主義、お金の為に生きている。

お金に人格があると考えると、上記のような人間関係が考えられます。
映画やテレビなどでは、お金持ち=悪いことをしている=悪人。貧しい人=心が美しい=良い人(幸せな人)のステレオタイプが結構ありますが、根拠のない間違った洗脳です。人は誰でも幸せになる資格と権利と能力があります。人間(人格)として豊かであり、経済的にも豊かであるほうが、人格者で貧しいより、お金持ちで心貧しいより、幸せであることは間違いありません。人は心と経済の両方の豊かさを求めるべきです。

お金に人格があると考えた時に、お金を嫌っている人に、お金が親しくなってくれたり、助けたりしてくれるわけがありません。お金に支配されている人に、永続的な発展や心の平安が生まれるわけがありません。

お金との付き合い方をよく考えてみると、お金そのものに人格があるのではなく、お金を持つ人の人格や心の豊かさが反映されます。お金との付き合い方は自分次第です。人間関係のように、お金との関係もいい関係を築く事は、心と経済の豊かさにつながります。あなたは、お金とどんな人間関係を築いていますか。

<余談>
今月は最新の映画技術の3Dに興味があり「アバター」を見ました。物語は、惑星パンドラにある貴重な鉱物資源をめぐり、人類が先住民族を追い出そうとします。主役が先住住民と人間のDNAで作られたハイブリットのアバターに意識を転移して、科学技術の遅れた先住住民を指導し戦い、人間を地球に追い返します。ハッピーエンドなのに、見終わった後の映画館の雰囲気は重苦しかった気がします。それは、圧倒的な兵力の差で原住民を殺戮する戦闘シーンが残虐であったのと、いったん人類を追い返しても、地球では、復讐キャンペーンが繰り広げられ、戦死した人を英雄にし、更に兵力を増強し征服しつくすまで戦いが続くことを予感させるせいかもしれません。
映画は遠い未来の遠い惑星の物語ですが、そんな遠くない過去に、アメリカやオーストラリアやハワイなどでも繰り広げられた光景、そして今現在も地球上のどこかの光景かもしれない。そんなことを連想させます。
略奪する側の人達は、その人達なりの言い分があり、正義だと思って侵略します。人は地球上で繰り返した人間のエゴと欲望を、科学技術が進んだ未来でも、他の惑星にまでも持ち込むのでしょうか。そんなことを宇宙が許すとはとても思えません。