人芯経営論 ・・・言葉の意味を考える「定義」

2014/04/11 浅見 淳一

私はプロジェクトマネジメント(PM)の研修やコンサルをしています。PM の発祥は欧米ですから、多民族多言語多文化の環境が PM を行う上の基礎です。 ですから、言葉の意味を説明(定義)して、可能な限り認識が違わないように配慮してあります。
一例をあげると、皆さんもよく使用する言葉に「前提条件」と「制約条件」があります。PM でも当然出てきます。 研修で時々受講生に「違いを理解していますか」と質問しますが、みなさん頭では理解していると思いますが言葉で説明できません。PM では、

■ 前提条件(Assumption)とは、
計画を立てるにあたって、証拠や実証なしに真実、現実、あるいは確実であると考えられた要因。
・プロジェクトを開始する時に成立している条件
・この条件は満たすものでなく、そういう状況の中で仕事をしていく
・前提条件が、変わった時にはプロジェクトが成立しないことがある
分かり易くいうと、プロジェクトが成立するための土台のようなものです。

■ 制約条件(Constraint)とは
所定のコースに沿って活動する、または活動しないことに対し制約を受ける状態、性質または意識
・プロジェクトに課せられた制約
・その条件を満たすように仕事をする
・場合によっては変更される可能性がある
分かり易くいうと、プロジェクトを実施するうえでの柵のようなものです。

私は PM 以外に営業研修や科学的思考法、問題・課題解決手法などの研修にも携わってきました。では「科学的」とはどのような意味でしょうか?

■ 科学的(Scientific)とは
科学的と表現するには、最低限 2 つの要件を満たしている必要があります
① 測定でき、数値化出来ること : たとえば、「なんとなくもやもやとして、柔らかいもの」のような表現では科
学的といえせんよね。
② 再現性のあること : 同じ環境で同じ条件で実験した場合、だれがやっても同じ現象になる必要がありま
す。

この定義は、科学的思考法などの大前提となる概念です。広く認知されていると思い、ネットで調べましたが出てきませんでした。 意外です。2 つの要件を満たしていないものは、実証も検証もされていませんので、仮説か、空想です。

私は、テレビは見ませんし、新聞も興味のあるところだけしか読みませんので、今回の「万能細胞騒動」について、 正しく認識しているとは思いませんので、あくまで私見です。

争点の視点が、海外のブレスト発表と国内のマスコミとではずれていると感じています。海外は「同じ実験をしたが再現しなかった」 つまり科学的でない。こと問題にしています。国内は、資料のねつ造に視点を置いています。個人的には「再現性」を立証すれば良いだけで、 再現性が実証されていないなら、仮説としての発表とすれば良いだけだと思います。

マスコミは、往々にして問題と関係ない、個人的なことを面白おかしくスキャンダラスに取り上げますが、こうした姿勢は 、卑劣( 品性や言動がいやしいこと、人格的に低級であること、またはそのような行為‥ネットによる定義 )です。

<余談 1> 前に何かの本で、もし日本に「理化学研究所」がなかったら、日本は科学・技術が 2 流の国家になってしまう。と読んだことがあり 、興味を持ち簡単に調べたことがあります。確かに、1917 年から日本の基礎科学と基礎技術を支えてくれている組織だと感じました。 今回の騒動が「理化学研究所」の弱体化につながることを危惧しています。そんなことは日本にとって何のメリットも有りません。 頑張ってください。何の力にもなりませんが、心から応援しています。