今日は、少し気分を変えてスポットのエッセイです。出張のついでにコンサルの友人と伊勢神宮に参拝に行ってきました。今年は伊勢神宮の 20 年に一度の式年遷宮と、出雲大社の 60 年に一度の式年遷宮が重なる特別な年です。式年とは決まったサイクルの意味です。遷宮とは御宮様を移動することです。人の世のサイクルも 60 年サイクルと言われています。景気も 60 年で循環するという説もあります。今年が景気上昇の元年であることを願っています。
伊勢神宮の起源ははっきりしていませんが、最古の記録には垂仁天皇26 年(紀元前4 年)に創建したとあります。確かな記録では、式年遷宮は、飛鳥時代の天武天皇が定め、持統天皇 4 年(690 年)に第 1 回が行われました。その後 120 年以上に及ぶ中断や幾度かの延期などはあったものの、第 62 回式年遷宮まで、およそ 1300 年間続いています。
伊勢神宮は、京都の神社仏閣などと比べると地味で質素に見えます。弥生建築の殿舎を当時の最新の建築様式と最大の規模のままを伝えています。建設時の国力・技術であれば、神宮も現在にも残る神社のような建物にすることは可能だと思われます。それをあえて、定期的に膨大な国費を投じることとなる式年遷宮を行う途を選んだ理由は不明です。
ここからは外宮に一角にある「せんぐう館」で教えてもらった説明です。「伊勢神宮には 125 社のお社があり、遷宮では、内宮・外宮の二つの正宮の正殿、14 の別宮の全てを造り替えます。この時に計 65 棟の殿舎なども造り替えられます。総費用 5500 億円になります。一万本以上のヒノキが必要です。木材は 200 年計画で育てています。
その活動は森林を育てる自然保護の活動にもなっています。遷宮の準備は、8 年前から始められます。遷宮の時に解体された木材は、全国の神社に無償で配られます。20 年に一度、遷宮を行うことで、技術と伝統と心が伝承されます。」太い木材ですから、20 年でダメになるとは思えません。合理主義や功利主義で考えれば無駄だと考えることもできます。しかし、式年遷宮により日本人として伝えられるものは、数多くあります。こうしたこと一つ一つが日本の素晴らしさや価値観につながっています。研修などで、受講生の皆様に、参拝の経験を訪ねるとだいたい、7~8 割ぐらいの人が一度は行ったことがあるようです。日本人の心の故郷なのかもしれません。
参拝する前は、20 年に一回のプロジェクトかと思っていましたが、今は、1300 年続いた 20 年ごとの定常業務なのかもしれないと思っています。世界の国の中でそんなことを長年続けているのは日本だけだと思います。
300 年以上続いている企業は日本がダントツに一位なのもうなずけます。式年遷宮は、日本の日本人の特性と美点を継続するための象徴的なイベントなのかもしれません。
もし行こうと思っているのならば、今年に参拝すると運気上昇になると思いますよ。