人芯経営論 ・・・リーダーシップ考(2)

2009/12/15 浅見 淳一

テレビを見ていると、お笑い芸人の大物が、司会を勤めている番組が多くあります。彼らは組織の一員として活動しているのではなく、リーダーとしての魅力で活躍しているのではないでしょうか。リーダー力にはいくつかのタイプがあり、そのタイプごとに上手くすみ分けされていると思いました。

プレイヤー・タイプ・・・明石家さんま型
本人が中心となり、周りはサポートのような立場。自分が先頭にたち一番目立ち、回りはそれについていくスタイル。本人の魅力で周りを輝かせ、率先垂範で進んでいきます。星でたとえれば、太陽のようなタイプ

コーディネーター・タイプ・・・タモリ型
常に旬の人を集め、定期的に入れ替えていく。他の人の力を利用し、自身はその人達を上手く組み合わせていくスタイル。本人は最前列に出て目立つより、一歩下がって他の人の魅力を利用する。星でたとえれば、月の様なタイプ

プロデューサー型・・・島田伸介型
力はあるが発揮できない人、才能を生かせていない人達を、集めて演出する。その人達の魅力や力を演出力で引き出していくスタイル。目立たなかった人達を自分の周りに集めて、適材適所で目立たせる。星でたとえれば、土星のようなタイプ

カリスマ・タイプ・・・ビートたけし型
色々な才能をもち、なかなか周りが理解できない不思議な魅力の持ち主。人が自然と集まってきたり、周りがかついでくれたりするスタイル。何が出てくるか、行動するかは予想ができないが、人を魅力で引き付けてまとまる。星ではないが、ブラックホール(ブラックホールの仮説を私は疑っています)のようなタイプ。

リーダーシップを育成する有効な方法として、ロールモデル(お手本)を持つことがあげられます。自分のあこがれている人、理想の人の真似をすることです。歌舞伎では、芸を学ぶプロセスを守破離という言葉で表しています。まずは物まねから始まります。芸能人のタイプから、自分に近いタイプを意識するのもリーダーシップ育成の1つの方法です。

テレビでゴルフを見ていると、今年の賞金獲得額が二位の池田勇太選手は、尾崎選手にあこがれてファッションも真似をしていました。将来、石川遼選手を見てあこがれた子供たちの中から、きっと素晴らしいゴルフ選手が大勢出てくることでしょう。

人が成長し、夢を持つためには、まずは、目標となる人、あこがれる人を見つけることから始まるのかもしれません。若い人と話していると「夢がない」と言う発言をよく聞きます。それは、目指すようなモデル、あこがれるような社会、次の世代に引きつぐべきものを示せていない大人たちのせいなのかもしれません。夢のない大人が、子供たちに「夢を持て」というのは、無責任な上、矛盾しています。子供たちは、存在そのものが、夢であり希望であり未来そのものです。なにを伝え、なにを引き渡しましょうか。

<余談1>
今月の映画の日は、「風が強く吹いている」を見ました。すがすがしい映画でした。駅伝の映画です。駅伝部の主将は、メンバーのことを思いやる人間性でひきつけていました。私は走りませんし、マラソンもそれほど見ませんが、映画を見終わった後は、思わず走りたくなりました(実際は走ってはいませんが)。もう上映は終わっていると思いますが、アスリートの方には、絶対お勧めです。私はこんな青春のファンタジーは嫌いではありません。
<余談2>
11月末に、総合法令出版の通勤大学シリーズより「プロジェクトマネジメント理論編」を出版しました。ビジネス専門書ですので、大きな書店の目立たないところにしか置いてありません。是非探し出して、目立つところに出しておいていただけるとうれしいです。