会社を構成する、「人、物、金、情報」に関して、前回は考えてみました。実際、商品やサービスの市場投入を考える時には、マーケティング戦略は必要です。今回は、その販売戦略の見方についてです。
マーケティング戦略としての「モチベーション」
事業を考えるもっとも基本的なの見方として、「何をWhat」「誰にWho」「どのようにHow」にです。商品/サービスの対象をどうセグメントし、どのような方法で販売するか考えます。具体的なマーケティング戦略を立案する時には、通常4Pで考えます。4Pとは、
・Product→製品
・Price→価格
・Promotion→販促
・Place→チャンネル・流通
マイケル・ポーターが提唱した、競合差別化戦略、ポジショニング戦略の考え方です。対競合に対して、性能、価格、PR、販売チャネルで、いかに他社より優位に立つかに主眼が置かれます。この視点は、プロダクト・アウト、売り手の視点です。それに対応して、買い手の視点の4Cがあります。4Cは、4Pに対応しています。
・Customervalue→顧客価値
・Customercost→顧客コスト
・Convenience→利便性
・Communication→コミュニケーション
売り手(会社)の視点。買い手(顧客)の視点。の2つの視点で、戦略を考えるだけで、業績は上がるのでしょうか。私が、前にお付き合いいただいていた、ITベンダの経営者は、システムを販売している立場ですか、「ホントのことを言って、IT投資で、効率が30%向上するより、社員のモチベーションを10%あげるほうが、業績が上がります」といった言葉が印象に残っています。
長野県の48年増収増益を続けている伊那食品工業が今注目されています。寒天という地味な成熟商品を扱っていますが、好業績を長年維持しています。新製品の開発にも力を入れていますが、何より特筆すべきは、この会社の経営哲学です。社是は「いい会社をつくりましょう」です。この会社の経営理念は「社員の幸せを通して社会に貢献すること」です。それを会長の言葉をそのままお借りすれば「会社の目的は売上高や利益を伸ばすことではなく、社員を幸せにしたり、世の中をよくしたりすること。売上高や利益はそのための手段でしかない。商品やサービスを通して社会に貢献していくのはもちろん重要だよ。でも、それは企業の役割の1つであって、すべてではない。会社はもっと露骨に人の幸せを考えなきゃいけない」です。言葉通りの経営を実践しています。人事制度も、終身雇用、年功序列です。低成長を貫いています。グローバルスタンダードの利益至上主義、一辺倒のこの時代、失ってしまった、大切なものを思い出させてくれる会社です。社員が、不満を抱えている会社に、お客様に対して、満足できるサービスや商品が提供できるとは思えません。ES(社員の満足)なくて、CS(お客様の満足)なしとも言います。少しこじつけですが、社員の視点を4Gで考えてみました。
・Goal→目標(が明確で、達成する組織、喜び)
・Gift→相互扶助(与え合える、助け合える、組織、喜び)
・Group→共同参画(一体感のある組織、所属する喜び)
・Growth→成長(組織、個人として、成長する喜び)
4Gは、4Pと4Cとも対応しています。社員の幸せなくして、会社の発展も、お客様の満足もありえません。業績を上げる一番の方法は、「社員のやる気を上げる」ことです。