リーダーシップとマネジメントは似ているような、似ていないような印象を受けますが、リーダーはProactiveであり、マネジャーはControlと言えるかと思います。リーダーシップ論の第一人者のジョン・コッター教授によると、リーダーシップを「まず組織を誕生させる、あるいはその組織を激しく変化している環境に適応させていくさまざまなプロセス」としています。マネジメントは「人材と技術を管理する複雑なシステムを、つつがなく進行させるためのプロセス」としています。どちらもプロセスとついていますが、プロジェクト・マネジメントも別名プロセスマネジメントと言われるので、プロジェクトにとって重要な役割であることは、間違いないようです。プロジェクトにおけるマネジメントは与えられた制約条件を守りながら、プロジェクトの目標を達成すべく、チームメンバーを管理、指導することだと言えます。プロジェクトにおいてマネジメントはマネジャーの担当領域で、まさにプロジェクトの成功を左右するものです。プロジェクト計画書をベースにして、プロジェクトの技法を駆使して、プロジェクトを成功に導きます。
プロ野球チームで例えれば 監督にあたります。その監督として必要とされるスキルが、技術的スキルと人間関係スキルということです。技術的スキルは最新の野球理論であり、人間関係スキルはチームマネジメント、モチベーションマネジメント、コンフリクトマネジメントなどになります。プロジェクトにおけるリーダーシップを考えて見ますと、プロジェクト憲章を作成してプロジェクトの運営をプロジェクト・マネジャーに依頼する、トップ・マネジメントが持つべき役割とプロジェクト・マネジャーが持つ役割と両方にかかってくるようです。プロジェクト・マネジャーにとってのりーダーシップは、プロジェクトを運営していくうえでのソフト・スキルを必要とします。それをPeople Skillsと称しています。このPeople Skillsのツールを紹介しますと
1.オープン型クエスション
このクエスションは人々の考えを引き出し、あなたが相手に対して関心を持っていることを表す意思表示になります。
このクエスションは会話を活発にし、アイディアを引き出し、チームの中にギブ・アンド・テイクの関係を作ることができます。
“石川さん、このプロジェクトのスコープに対するあなたの考えをもっと言ってくれますか?”
2.アクティブ・リスニング(積極的傾聴)
このスキルは相手に対してメッセージを聴いていますよ。ということを示すフィードバックとなります。リーダーに従う追随を作り出し、プロジェクト・マネジャーのコミットしているというイメージを作ることになります。
“佐藤さん、この納期計画はあなたは90%大丈夫であり、大きなリスクは現在のところ見られないというように、私には聞こえますがそれでいいですか?”
リスナーのプロセスは以下のようなメッセージで表されます。
* 言っている内容を聴く
* 要約する
* 要約をフィードバックする
このスキルは話し手に対して、お互いに方向性を確認し明確なにしてフィードバックする効果があります。
3.ディスカッションのトラッキング
このスキルはディスカッションがポイントからはずれてきたときに、適切なコメントを与えながらフォローし修正する能力です。
“大田さん、私のコメントは本質から外れているかもしれません。ちょっと、このプロジェクトのスコープ記述書に関してあなたの言ったことに戻ってみましょう。”
このスキルは何人かの少し違っている話し手の内容や主題を同じ方向へと類似性を調整していくスキルとなります。
4.ディスカッションのリフレーミング
このスキルはメンバーの否定的な思考や態度をより課題に対して、より肯定的な枠組みを作っていく方法です。否定的なメンバーに対してより前向きの行動を起こすようにもっていくスキルです。
“中村マネジャー、このワークパッケージをすすめるのに、リソースが足りないと言っているのに全然対応してくれないし、対応しても新人では役に立ちませんよ。”
“鈴木さん、確かに今まではあなたのいうとおりだったかもしれません。しかし、新しいスタッフが必要だということは理解しています。今回は要望があったときに、よりよい対応が受けられると思います。”
このように中村マネジャーはより肯定的な枠組みにリフレームしています。このスキルは枠組みをリテラル・チェンジ(使用された言葉を使って変化させる)によって例示するスキルです。
リフレーミングの目標は問題の解決に対して、可能性の感覚を作り出し、当惑や一方的な考えに比べて、個人により可能性を見出せるようにすることです。
トップマネジメントにおけるリーダーシップは、ジョン・コッター教授のいう「変化をリードしてゆく能力となる。その根本はビジョンの設定ということになる。ビジョンは短期的なものではなく、長期的な将来を見て設定され、つぎの戦略策定につながります。これを図であらわすとこのようになります。これは単一プロジェクトというよりは、PMOの責任者やその上位のポジションにある方たちへ要望されるスキルかと言えます。