プレゼンテーションのコツ その26

2012/10/09 村松 かすみ

第26回目は、
『「ラポール」を築く②』では「バックトラッキング」をご紹介します。
「バックトラッキング」とは、相手の言っている言葉を繰り返すことです。つまりオウム返しです。相手に対して、「自分を受け入れてくれた」「自分の意見が伝わっているな」という安心感を与えることができます。その方法として3つあります。

① 相手の言葉をそのまま繰り返す
前回ご紹介したペーシング③と同様ですが、相手の言葉に対して「バックトラック(後ろから追いかけていく)」言葉を返していきます。

例えば、上司に、「業務効率化の提案を考えてくれないか?」と言われたとします。
その時あなたは、「業務効率化の提案ですね」と相手の言葉をそのまま繰り返します。
すると上司は、「自分の意思は伝わっているな」と安心します。

② 要約して繰り返す
相手の話が長い場合、すべての内容を繰り返すと不自然になります。その場合は要約して繰り返します。

③ 感情の言葉を繰り返す
これは、共感を表すことに通じています。例えば同僚から「最近仕事がしんどく(・・・・)て・・・」と切り出された時、あなたが「そっか、仕事大変(・・)なんだね」と言葉を入れ替えないで「仕事がしんどいんだね」と繰り返しますと、相手は自分を受け入れてくれたと感じ、ラポールを築く際の助けになります。「ペーシング」と「バックトラッキング」を紹介しましたが、大切なことは、あなたが相手に気持ちを向けることです。テクニックがすべてではなく、何よりも大切なのは「相手が心地よいか?」に意識を向けることです。動きを合わせよう、言葉を合わせようとするあまり、相手の話に気持ちを向けることがおろそかになると、信頼関係を築くどころか、反対に相手に不快感を与えてしまいかねません。

プレゼンテーションは、一方通行のコミュニケーションではありません。
相手がいるからこそ成り立つものです。そのために、良い関係づくりが日頃からできるといいですね。