ノーベル賞級の研究にも計画が重要

2015/10/13 中 憲治

 今年のノーベル生理学・医学賞を北里大学の大村智特別栄誉教授が受賞した。翌日 10 月 6 日の日経新聞朝刊の春秋欄に次のような記事が載っていた。そのままその一部を紹介したい。(以下、まま)

《 「いつも2つのことに取り組んできた」。ノーベル生理学・医学賞に輝いた大村智さんは 2010 年の本紙夕刊「人間発見」でそう振り返っている。山梨県の農家に生まれ、子供のころは勉強のかたわら農作業。 大学院で化学の勉強を続けたときは高校で教壇に立った。 ▼農業は、いつ、どんな作業をすべきか、計画的にとりくまなくてはならない。「時機を逸することはできない」(中略) ▼資金集めや企業との共同開発など、計画性が求められるのは研究も同じだ。(以下略) 》

大村さんが嘗て研究開発にも計画性が重要な事を述べていた事を紹介した記事だが、大村さんは計画性の重要さを自分の若き頃の農業経験からまなび、それをノーベル賞級の研究に活かしてきたことが理解できる。私はこの記事を読み1つの事に感銘を受け、同時に一つの事を思い出した。感銘を受けた1つは、農業における計画性の重要性を述べている事である。私は、農業もプロジェクトマネジメントのプロセスが活用できると信じている。 特に計画プロセスが重要であり、実行プロセスでは天候に左右されることが大きいが、計画段階で土壌づくりがしっかり出来ていれば、ある程度の成果を得られる。 農業は計画プロセス重視のプロジェクトであると言える。思い出した 1つは、2010年にノーベル化学賞を受賞した根岸博士の事である。根岸博士は克って日本経済新聞の私の履歴書に、ノーベル賞クラスの研究開発にも計画性が重要である事を書いている。 研究開発における発見は「セレンディピティー」に恵まれたからだという意見が多いが、研究開発における緻密な計画と実行があってこそ「セレンディピティー」に遭遇出来ると述べている。 根岸博士の持論を大村教授が裏打ちされた事は、物事における計画性の重要さを再認識させられる。