クロスチェックの効用

2014/08/12 中嶋 秀隆

夜遅く帰宅時の最終電車でうっかり眠り込み、終着駅まで行ってしまった。メールを送る際、漢字変換の誤りに気づかないまま送信し、 あとで赤面した。「俺はいつも集合場所に時間通りに着く。ただし、ときどき日付を間違って」(ある先輩の嘆き)…こんな「うっかり」体験は誰にでもあるのではないか。

こうした勘違いや間違いは、誰かが一緒にいてくれたらまず起こらない。1人が勘違いしていても、別の人がチェックしてくれるからだ。

オフィスで仕事をしていると「中嶋さん、会議が始まりますよ。行きましょう」と仲間が声をかけてくれることがある。 それにより、自分が開始時刻を 1 時間誤って予定していたことに気づくこともある。あるとき、友人と2人で自転車旅行中に、 道端の道路表示が曖昧で、どちらに行くべきかよくわからないことがあった。そんなとき、2人で意見を出し合うことで、正解が導き出せた。
こんなやり取りを A と B の 2 人モデルで分けると、A も B も正しい、A は正しいが B は間違える、A は間違えるが B は正しい、 A も B も間違える、の4つが考えられる。そして、間違いが放置されるのは、A も B も間違える場合だけである。単純に考えても、 1人では、正しい場合と間違える場合がそれぞれ50%ずつとしても、2人になると A も B も間違える場合は25%になる。

航空機の機長と副機長が出発前に準備状況を相互に確認する(クロスチェック)するのも、ビジネスパーソン同士が作成した文書の原案を相互に確認する (クロスチェック)するの、1人では起こりがちである勘違いや間違いを排除するためだ。そして、その効果は足し算というより、掛け算で利いてくるようだ。

以上