「最後の授業」のランディー・パウシュ教授は、計画を立てることの必要性を、次のような言葉で表現している。「計画は変えることが出来る、しかし、計画がなければ何も変えられない」
計画を一度立てれば、何が何でも計画通り進めなければならない。そのようなことを主張する人がいる。また、私たちは一度立てた計画は、計画を立てたことそのことを大事に思い、出来るだけ計画をそのまま実行しようとする傾向がある。私も、マラソン大会に参加申し込みをした後は、練習計画を立て、少々体調が悪くても、途中で軽い故障があっても、毎朝10KMのジョグは欠かさない。計画通りしなければの思いが強い。
先日、北京オリンピックのマラソンでオリンピック記録で金メダルを獲得したサムエル・ワンジル選手が新聞のエッセイに次のようなことを書いていた。「日本の選手は、練習のしすぎである。その結果大会までに故障したり、万全の体調で望めなくなりよい結果を残せないでいる。監督やコーチの立てた練習計画をその通りに実行する気持ちが強く、折角の資質を生かせない選手が多い。私は、タイムトライアルの予定があっても雨などでその日の天候が悪ければ、その日は行わず、翌日天気が回復してからタイムトライアルを行う。そのほうが良い結果を生み、気分よく次のステップに進める」この記事を読んで、考えさせられた、日本人選手は、雨の日でもタイムトライアルが予定されていれば、強行し、結果として良い記録を残せない、加えてこれは練習不足だと考えて、翌日からまた走り込みを強化する。その結果、疲労も強くなり、故障も起こしと悪いサイクルに陥っている傾向が多くないだろうか。計画は大事だが、環境、体調などの状況に応じて自分で判断し、柔軟に対処する。計画は柔軟に変更する勇気、それが成功への王道なのかもしれない。