「組織に蓄積されたノウハウ」と「ベテランのノウハウ」

2019/02/25 中西 全二

 今回は、「組織に蓄積されたノウハウ」と「ベテランのノウハウ」について述べたい。

 ここでいう「組織に蓄積されたノウハウ」とは、その組織がプロジェクト等を遂行する都度、振り返りを行い、蓄積した有形無形の資産という意味である。しかしながら、数ある組織の中には、それらを蓄積し続けていない残念な組織が存在しているのも事実である。
そのような組織では、「昔に類似の経験をしたはずだが?」、「残念ながら、記録が残っていない!」という悲劇が繰り返されている。

 一方、「ベテランのノウハウ」とは、その組織に長年属している構成員の体に属人的に保有蓄積されているノウハウのことである。こちらについては、その構成員が組織から退職等で離れると、その組織内から消失してしまうことがある。最近も、多くのベテランが退職したため、いろいろなトラブルが発生してしまったという話を聞いたことがある。
「ベテランのノウハウ」を「組織に蓄積するノウハウ」へと転換させるというのも一つの解決策であろう。

 ふと、気が付けば、PMBOKとやらで、「組織のプロセス資産」とか「専門家の判断」とか呼ぶこともあるようである。遠い昔では「ナレッジマネジメント」、最近では「AIもどき」と呼んでいるのかもしれない。
 
 最後に笑い話をひとつ、
  「『組織のプロセス資産』を確認したのですが、具体的に同じ事例がなく使えません!」
 (笑えない人は、PMBOKにおけるプロジェクトの定義を確認してほしい。)