「形容矛盾」ということ

2018/06/15 中嶋 秀隆

先日の「英語のジョークを楽しむ会」で英語学者・豊田一男先生が“oxymoron”について話された。この言葉は「形容矛盾」「撞着語法」などと訳されるが、イデイオム化して、日常それと気づかずに使っている場合も多いとのことだ。例えば“an open secret”“an open secret”“old news”“a wise fool”“a serious comedian”など。
文章では、次のような例文をあげられた。
I am deeply superficial.
Perhaps the only dignity of man is his capability to despise himself.
I want to die young at a ripe of old age.
To appreciate nonsense requires a serious interest in life.
最近のビジネス現場では、一見あい矛盾する2つの要素を同時に、取り込むことが成果に結びつくという考え方が、色濃く見受けられるようになった。
私どものPM研修でも、リスク・マネジメントのポイントは「健全な危機感」をもつことだと強調しているし、経営者がビジネスの見通しを聞かれ、「用心しつつ楽観的“cautiously optimistic”」と答えることもある。経営書『ビジョナリー・カンパニー』では、企業は「ORの抑圧」に屈することなく、「ANDの才能」を活かすことが重要だと説く。
一見、矛盾する要素や両立しないとされる要素を引き受けて成果を生むには、「形容矛盾」の「矛盾」を解決することが求められる。